4642オリジナル設計について気になっていたので簡単に調べてみました。
高配当株(候補) オリジナル設計 概要
事業内容
上下水道に関する調査・計画・実施設計・施工監理及び都市施設情報などの公共事業等に関する建設コンサルト会社で、官公庁や地方自治体、日本下水道事業団(下水道の整備事業を行う、地方自治体が出資し、主体となって業務運営を行う地方共同法人)が主な顧客です。
建設コンサルタントというのは少しわかりにくいですが、国土・地域・都市整備事業の立案から構想・計画段階での検討業務、環境評価業務、設計業務、施工監理、維持管理業務を行う業者で、実際に工事を行うわけではありません。
主要数値
2020年5月12日現在 株価:897円、配当利回り:約3.6%
収益状況
売上・利益推移
売上はどちらかといえば増収基調。
利益水準は直近数年は比較的安定しているといえますが2018年12月期から少し減少傾向にあります。
顧客が地方自治体等になるのでその予算等に影響を受けるとはいえ、比較的安定的な売上が計上されてきているのではないでしょうか。
尚、2012年以前は赤字の年もあり、経営陣の交代以降は黒字基調となった模様。

とはいえ、黒字化の要因が外部環境と
経営陣交代やそれに伴う施策による
会社内部環境要因のどちらがより大きく
寄与しているかは調査不足で不明です。
営業利益率
12.6%。
なかなか高い数字です。
ROE
8.7%。
高いです。
下記に記載しますが、自己資本比率が高く更に総資産に占める現預金割合が高い中優秀な数値と思います。
CF状況。
2013年12月期以降は営業CF黒字です。

但し、2018年12月期は約14億円の営業CF黒字だったのですが、
2019年12月期は約4億円の黒字と大きく減少しており少し気になります。
決算短信で内容を確認したところ下記の数値が2018年と大きく変動しています。
- 税引前当期純利益 +9.3億円(2018年以下同じ) → +7.7億円(2019年以下同じ)
- 売上債権の増減額 +4.2億円 → △0.6億円
- 未成業務受入金の増減額 +2.3億円 → △1.9億円
利益が減少、期末の売上債権が増加し、前入金が減少しているということです。
この未成業務受入金というのは前受金のことです。
業務期間が長期にわたる際、業務が完全に終わるまで代金もらえないとその間の資金繰りが難しくなるので契約に依りますが何回か業務終了前に前入金されます。
通常業務が数か月以上にわたる工事や開発、コンサル事業だと一般的な商慣行です。
2019年12月期の財務CFが大きく赤字ですが、これは約10億円の自己株の取得を行っている為です。
財務状況。
自己資本比率
78.6%。

高い!
直近、借入金や社債はありません。
有利子負債としてはリース債務が約44百万円(総資産の0.6%ほど)。
現預金残高
37億円。総資産の53%。
換金できる思われる投資有価証券も合わせると42億円で総資産の約60%を占めます。
直近の年間の配当額が約1億円弱なので、配当余力としても全く問題なし。
配当状況
直近の配当利回:3.6%、配当性向:48.6%です。
有価証券報告書によれば長期的に安定した利益還元を目指すとの記載がありましたが、特に数値目標等はないようです。
PER
11.0倍。
私は高配当株でも割高な銘柄は購入しません。
そういう意味では、高配当割安株投資いうのが正確な表現かもしれません。比較的割安かと思います。
(上の画面のバフェト・コードさんの記載ではPER14倍でしたが、恐らくヤフー・ファイナンスさんに記載の11.0倍が正しいものと思われます。)
その他。
上下水道を廻る環境
決算短信の記載に依れば、日本の上下水道インフラは約130兆円と道路に次ぐストックで普及はほぼ終わっているものの、想定される耐用年数に比べると毎年の更新率が著しく低く老朽化が進んいる状態のようです。
従って、安全な水を安定的に供給するためにもインフラの更新が必要とされている状況にあるようです。

そう考えるとオリジナル設計の収益については
増加する要素があると思うのですが、
一方で自治体等の予算が飛躍的に増加するとも思えません。
更に人口減少により給水人口・使用水量が減り
水道料金収入の減少も想定されています。
著作権等の問題があるので掲載していませんが、”上下水道インフラ 動向” などで検索してみてください。
国交省や調査機関の上下水道インフラ環境に関するレポートが拾えると思います。
オリジナル設計を取り巻く環境をある程度理解するには見ておいた方がよいかと思います(国交省のレポは著作権問題ないかもしれませんがあまりにページ数が多かったので掲載しませんでした)。
流動性
かなり低いです。
ほとんど出来高がない…。
総括
まとめ
顧客の特質から収益はある程度安定的に推移しそう。
どちらかというとディフェンシブよりの株でしょうか。
また、日本の上下水道のインフラ更新の必要性を考えると潜在的には受注が増加する要素があることは事実。
ただ自治体の財源等に影響を受けますね。
個人的には投資の対象になり得ますが、ちょっと悩ましい。

社会的意義は高そうかも。
今後の個人的着眼点
自治体の財源問題と水道インフラ更新への気合(笑)
すいません。

笑ってはいられる問題ではなかろーに。
広域化、民営化の動向
小規模な地域ほど水道事業の運営は厳しいようです。
従って、効率化の為に市区町村を超えて広域管理が進むと思われます。
また、2018年12月に水道法の改正案が可決されました。
民営化にあたっては、施設の所有権を自治体などが保有したまま利用権を民間に移す「コンセッション方式」が採用されるようで今後運営の民営化が進んでいくと思います。
オリジナル設計の事業には水道料金改定に関するコンサルといった運営の密接に関連している事業領域もあるかと思うので所有側にも運営側にも関与していくことは可能と個人的には思っています。
オリジナル設計が関与している日本の上下水道分野というのは今後環境が大きく変わっていくと思っています。この動きとオリジナル設計がどう関わりあうことができるかは重要な視点と思います。
受注高
数値としては、やはり受注高は気になります(HPにも記載あります)。

未成業務受入金が増加していると安心するかな。
資金繰的にも手持案件状況としても。
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