NTTがドコモ株式をTOBにより取得するということになりました。
私もNTTもドコモも高配当株投資の一環で保有しています。
今回のNTT及びドコモの個別事案に関しても思うことや書きたいことはあるのですが、両社のIRをまだ目を通し切っていないので、今回は一般的なTOBの用語解説をします。
TOBとは
TOBとは。
TOBとは、Take Over Bidの略で、日本語だと”株式公開買付け”といいます。
不特定多数の株主が保有する対象銘柄株式を、市場外で短期間のうちに大量に買い付けることをいいます。
この際、予め”買取期間””買取価格””買取株数”を明示します。
買収する場合や子会社化するといった企業再編の一環で
行われる場合や、経営陣による買収(MBOといいます)の際に
利用されます。
TOBを行う側のメリット・デメリット。
メリット
買取価格、株数を予定していますので、必要資金(必要借入金額)の見込みが立てやすいこと、短期間で購入できること。
通常の市場取引の場合だと、様々な要因で株価も変動しますし、そもそも購入に時間がかかることが想定されます。
デメリット
短期間でまとまった資金が必要な事。
また、買付対象との関係が友好的でなく抵抗される場合には、買収防衛策を講じられることにより、買付側が損失を被ったり、そもそもTOBが成立しない(失敗する)ケースがあり得ます。
具体的な買収防衛策については、例えば、”ライツプラン(既存の株主に対して予め定めた条件の場合に、時価より安い価格で新株を購入できる権利を付与)や”黄金株(重要議案の否決ができる)”といったものがあります。
ちなみに、TOBする側とされる側のお互いが納得している場合「友好的TOB」、お互いの関係が良好でない場合「敵対的TOB」といわれたりします。
今回のNTTとドコモは友好的TOB、先日の大戸屋と
コロワイドのケースなんかは「敵対的TOB」だね。
今度、この辺りの買収防衛策を掘り下げて
解説してみてもおもしろいかも。
TOBを受ける企業の株主側のメリット・デメリット。
メリット
通常、TOBが行われる場合スムーズに買取に応じてもらうために、買付価格には約30%程度のプレミア価格が付される場合が多いです。
勿論これは平均的な数値なので、ほとんどプレミアがつかない場合もあれば、50%程度のプレミアが付される場合もあります。
TOB前の市場価格よりも高い価格で売却が可能ということになります。
デメリット
株主でなくなることがデメリットの場合はそれがデメリットになります。
高配当株投資の対象として、今後10年20年以上と配当収入を得るために探した銘柄だと、いくらプレミアが付いて売却できたとはいえ、ちょっと悲しいですね…。
売却益が多額であればよいですが、そうでない場合は…。
また、上記の買収防衛策を講じられた場合に、
既存株主が損をするケースもあります。
TOBが行われる際、株主が取りうる選択
保有している銘柄についてTOBが行われた際の株主の選択は以下の3パターンです。
公開買付けに応じる。
買付価格もプレミアがONされて売ってもいいなと思える場合、まず素直に公開買付けに応じるという選択肢があります。
但し、TOBに申込むには、公開買付けの代理人となっている証券会社に口座を開設して、現在の証券会社から一度株式を移管するという手続きが生じます。
なので少々時間と手間がかかります。
この場合、通常の市場取引で売買する際の売買手数料は不要ですが、証券会社によっては別の証券会社への移管について移管手数料が生じる場合もあります。
市場で売却する。
こちらも売ってもよいと思える場合です。
売却手数料はかかりますが、公開買付けの代理人証券会社口座への移管の手間なく売却できます。
公開買付けが発表されると、買付価格とほぼ同じ金額(僅かに低い)で市場価格も推移しますので、市場でさっさと売却してしまうというのも結構取られる手法です。
お手軽です(笑)
保有し続ける。
買付価格が取得価格を超えない場合、売却すると損なので売りたくないというケースもあるかと思います。
その場合は勿論何もしないで保有しておくことも一旦はできますが留意点があります。
TOBの後にTOB側が強制的に株式を買い取ることも可能です。
TOBにて完全子会社化することを目的とする場合は、間違いなくこの二段階買付が行われます。
また、TOB後には対象銘柄は上場廃止を予定している場合、その後配当や総会議決権は行使できたとしても、今まで通り市場での売却ができないことになります。
この辺りの状況も鑑みて判断が必要になります。
実際には、売却しないというのは
あまりお勧めできないケースが多いですね。
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