通常、老後のための投資というと、個人口座での取引になりますが、もし自分1人で自由にできる法人を有しており、その法人で高配当株投資(でなくても構いませんが)をするとどうなるでしょうか。
今回はそのメリットについて考えてみます。
大前提
しつこいようですが、自分がオーナー(つまり株主)で、自分が代表となっている等、自分1人の意思で自由に経営できる法人が大前提です。新規に設立しても構いませんが、一番良いのはこじんまりとしたビジネスを既に行っている場合でしょうか(新規設立の場合は設立費用等かかりますし)。
間違っても、自分が勤めている会社とかに提案するのは無しです。
法人口座で高配当株投資! のメリット
受取配当等の益金不算入
なんじゃ、コレッて感じかもしれませんが、そんな制度が法人税法にあります。一度法人税掛かった配当金について、その配当金を受け取った法人で法人税課税すると二重課税ではないかという論点があるため、存在する制度です。簡単に肝だけ書くと、配当金収入の20%は収入がなかったものとして取り扱われます。

持株割合によって、この配当収入がなかったものとされる割合は変わります。例えば100%子会社からの配当だと全額配当収入がなかったものとして法人税計算が行われます。上記の20%というのは持ち株割合5%以下の法人からの配当金の場合ですが、通常我々一般投資家の持株割合が5%を超えることはほとんどないので、持株割合5%以下の場合を想定しています。
配当金の20%収入がないものとされて税金が掛かるということは、100万円の配当収入があっても80万円の配当収入部分のみ課税対象となるということです。
(株式保有期間等によって細かな規定等ありますが、便宜省略しますね。)
法人は全所得課税
個人の所得税の場合は、証券税制は証券税制の括りで税金計算され、給与や事業所得とは別に税額計算します。上場株式の配当収入も、上場株式の譲渡損や繰越損失があれば、その範囲での通算のみ可能です。また、上場株株式の譲渡損失は、譲渡益や配当金収入とのみ通算可能です。
一方で、法人税の課税は、その法人のすべての収益費用を合計して行われます。従って、法人で保有株式の譲渡損が生じた場合には法人で行っている事業の収益と相殺できますし、法人の事業が赤字の場合、配当金収入や株式譲渡益はこの赤字と相殺されたりします。
従って、法人で株式投資をして配当収入や株式譲渡益が生じても、他の事業の損益状況や、繰越されてくる前年以前の損失(繰越欠損金と呼びます)がある場合は、これらと相殺されて、課税が生じない、或は課税ベースが減少するということが可能となります。
そして、その場合、配当金受領時に差し引かれた源泉税も還付されることになります。
なんか良いことづくめな気もしますが、当然デメリットが生じる場合もあります。次回は、法人税で株式投資をする際のデメリットについて。
それでは、よい一日を!
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