前回、個人の仮想通貨の税金について簡単に記載しました。
今回は、仮想通貨取引を法人で行った場合の税金についてざっと紹介します。
仮想通貨の税金【法人編】
個人の場合と違うケースにフォーカスして紹介します。
大きく異なるのは以下の3点になります。
マイニングや仮想通貨の交換、仮想通貨を利用した商品購入などは個人の場合と同様です。
所得区分と税率
個人の場合は、仮想通貨を売却して利益(売却金額ー購入金額・売買手数料)が出た場合、その利益は通常雑所得として総合課税されるという話でした。
所得区分
この点、法人の場合は、そもそも所得区分(給与所得とか事業所得とか雑所得とか…)という概念はありません。法人全ての収益から全ての費用を除いた利益(税務上は「所得」と呼びます。以下わかりやすい「利益」と表示)に税率がかかります。
税率
一般的に約30~35%(法人税、住民税+事業税)と言われます。
従って、個人で仮想通貨取引する場合と比べると、仮想通貨取引の利益やその他の給与収入が少額であれば個人での取引の方が税金が少なくて済みます。
一方、法人での取引の場合は、いくら仮想通貨の利益が多額になっても、上記税率で済みます。
少々留意点あって、
- 上記税率は、資本金1億円超の大法人なのか、それとも中小法人なのか。
或はいくつの県に事業所や支店があるのか等によって、税率が異なった、税率が1段階~2或は3段階に分かれたりするので幅があります。もりっこ。実際には、中小法人で事業所も1か所で利益も少額であれば、
税率は20%台で済んだりもします。 - 法人の場合は利益が出ると事業税もかかります。
個人の場合は事業税は、事業所得やある程度手広く行っている不動産所得の場合にのみかかります。
欠損金の繰越控除
法人の場合は、しつこいですが、仮想通貨の利益や損失のみ着目してどうこうするのではなく、それも含めた会社全体の利益に課税されます。
一方で、会社全体で赤字であれば、その赤字は翌年以降に繰り越されて翌年以降の利益と相殺可能です。
また、仮想通貨で大儲けして結果会社全体で利益が出たとしても、過年度より繰り越された欠損金があれば、その分は利益と相殺可能です(大法人の場合は制限アリ)。
期末評価替え
上記2点は、仮想通貨取引があるなしに関わらずも法人の税金に関する基礎的なことですが、この期末評価替は仮想通貨にフォーカスした個人との相違点です。
例)100円の仮想通貨を保有して、法人の決算期を迎えた場合。
①その時点の時価が120円の場合
売却していなくても、20円を評価益として計上する必要がある。
②その時点の時価が70円の場合
売却していなくても、30円を評価損として計上する必要がある。
特に気を付けないと行けないのは、①の場合です。
売却していないので、その利益の裏付けとなるキャッシュは手元ないのですが、税金だけ支払う必要が出てくる可能性があります。

怖っ!

法人のその他の利益状況や上述した過年度からの
欠損金の有無・多寡にもよります。
結構この点は盲点かと思うので留意ください!
税率が低く済みそうと安易に法人で取引した場合のデメリットかもしれません。
一方で、②の場合は会社の他の利益を減らしてくれるので結果的に節税になるという面もあり、どっちにころぶかはわかりませんね。
仮想通貨の税金【法人編】まとめ
・売却していなくても、評価損益の計上が必要。
キャッシュはないのに納税というケースが生じ得ることに留意要。
「仮想通貨関係FAQ」の公表について
この内、「別添4 仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」を参照ください。

法人を上手く使うと結果的に有利になることも
多いですが、留意点もお忘れなく。。。
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