そろそろ3月決算会社からの株主総会招集通知が届き始めました。
そんな中気づいた人もいるかと思いますが株主総会の議案に剰余金処分(配当)の議案がある会社とない会社があります。
ちなみに先日実際に届いた招集通知でいうと、
・双日は株主総会の議案にあります。
・アサヒホールディングスは株主の総会議案にありません。
なんでや?
今回はこの辺りのことについて。
双日にはあってアサヒホールディングスにはない剰余金(配当)議案
こんな感じ。
左がアサヒホールディングス、右が双日の招集通知。
双日には剰余金(配当)の議案がありますが、アサヒホールディングスにはありません。
かといってアサヒホールディングスは期末配当出さないわけではありません。
この招集通知と同封で配当金の通知書も送付されてきています。
さっさと送られてきてます。
両者の違いは、
剰余金(配当金)を出す出さないの決定を株主総会で行うか、取締役会で行うかの違いです。
通常は株主総会で決める事案ですが、一定の要件を満たすと取締役会のみで決定できます。
剰余金(配当)は取締役会で決定可能 要件アリ
要件。
剰余金処分は株主総会決議が原則ですが、会社法459条に記載されている要件を満たせば取締役会の決議で可能になります。
要件を簡単に抜粋すると以下です。
2 監査役会設置会社
3 取締役の任期1年
4 最終事業年度に係る計算書類が法令及び定款に従い株式会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する
5 定款に、剰余金の配当の決定を取締役会の権限とすると定める。
少々聞きなれない言葉が並んでいるかもしれませんが、
上記の1と2は上場会社は必須。
3と4も比較的多くの上場会社でそうなっています。
後は5の定款変更をするかどうかといったところ。
取締役会決議としていない会社が多い理由。
剰余金処分(主には配当)に関する決議を株主総会で行わなないということは、株主の権利が制限されるという側面があります。
従って、双日のように株主総会の議案で掲載している会社の方が
多いと思います。
剰余金処分に関する決議を株主総会で行わない場合には配当を増やすような株主提案も難しくなると思います。
(そもそも剰余金処分自体が株主総会の範疇でなくなる為)
もし株主提案するとすれば定款変更の提案
(剰余金処分を取締役会の権限とする条項の削除)も
セットですかね。
年1回の中間配当は別です。
配当の決定を株主総会で行っていても、年1回の中間配当は取締役会で決定できるので多くの会社は年1回の中間配当は取締役会で決定しています。
確かに中間配当に株主総会の招集通知は送られて来ないよね。
配当通知がある日突然届いているという感じ。
その年1回の中間配当に関しては会社法にて下記のように定められています(会社法454条第5項一部抜粋)。
取締役会設置会社は、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当(配当財産が金銭であるものに限る。以下この項において「中間配当」という。)をすることができる旨を定款で定めることができる。~以下略~
年1回の中間配当に関してはこの規定を定款に加えるだけです。
この場合の中間配当は総会決議は不要となります。
高配当株投資を行う上で。
ここからは完全の個人の意見です。
決算配当も取締役会決議で行ってもらう方が、その分配当金が早く入金されるので良いかなとは思います。
剰余金処分に関して株主総会を経なくても
取締役会任期を1年にする必要があることや
決算に問題がないとの監査人からの意見が必要なことから、
ガバナンス上もそんなに問題ないのかなと感じます。
また高配当株投資を行う上で株主還元に前向きな会社を選んでいるハズだと思うので、総会決議を経なくても株主還元されている前提です。
ただ、経営者や大株主が変わった際に株主還元の姿勢が変わったりすると困りますが、そもそも個人投資家の持株レベルでは株主提案を行うのは難しいです。
株主還元姿勢が低くなったら(配当利回りも下がると思うので)どちらかというとポートフォリオ組み替えるしかないかなと。
構造計画研究所やあおぞら銀行とかね。
今日はそんな話でした。
それでは、よい1日を!
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