高配当株 三菱UFJFG の第1四半期決算。
経常利益以下が芳しくなかったようですね。
その辺り確認してみました。
MUB関係について記載していたらちょっと長くなったので、
適当に飛ばしてください。
三菱UFJFG 2023年3月期第1四半期決算
損益概況。
(出典:2023年3月期第1四半期決算短信)
経常利益:2,629億円 (同 △42.9%)
親会社株主に帰属する四半期純利益:1,136億円 (同 △70.3%)
収益は増加していますが減益幅が大きいです…。
⇒ MUB株式譲渡決定による貸出金の時価評価:△442億円(上図の③)
理由その2:その他の臨時損失の大幅増加
⇒ MUB株式譲渡決定によるMUB保有債券等の評価損:△2,102億円(上図の④)
MUB株式譲渡絡みやな。
MUB関係については後述します。
先に大枠を見ておくと、
(出典:決算ハイライト)
業務純益は4,251億円で前年同期比+1,417億円。
(営業費用の削減も進んでいる模様)
MUB関係による損失2,544億円の計上により、経常利益、四半期純利益が大幅減益。
但しMUB株式譲渡実行時の特別利益計上が予定されている為その影響を考慮すると通期目標は射程内。
ちなみに通期業績予想は
親会社株主に帰属する当期純利益:1兆円
第2四半期もMUB関係の損失は発生予定(金額は後述)。
但し、通期決算に与える影響は差引2,000億円程度の予定で、業績目標に織り込み済。
通期目標親会社株主に帰属する当期純利益:1兆円は不変。
MUB関係損失で経常利益や最終利益は毀損。
当初最終利益目標は充分射程圏内ってところか。
そんな感じ。
ではそのMUBについて少しまとめてみます。
MUB関係
経緯など。
MUBの資本関係とMUB株式譲渡
関係する資本関係のみ抜き出してみました。
経緯など
- 2021/9/21 MUAHが保有するMUB株式をUSB(U.S.Bankcprp)へ譲渡する株式譲渡契約締結。
この時点で株式譲渡時期は関係当局の承認が必要な為2022年1月~6月予定とされていた。
MUFG Union Bank株式の譲渡契約締結およびU.S. Bancorp株式の取得について - 2022/5/16 株式譲渡時期を2022年7月~12月へ変更。
【変更】MUFG Union Bank株式の譲渡契約締結およびU.S.Bancorp株式の取得について
具体的な時期は、実行日の30日前までに
改めてリリースするとのこと。
損失サマリ。
(出典:決算ハイライト)
何故損失が発生するかや
顛末については以下のとおり。
上記MUB株式の譲渡契約の結果、MUBの親会社MUAHの会計処理(米国会計基準)において売却対象事 業に対して時価評価が行われることに(実際に損失が実現しているわけではない)。
四半期ごとにMUB保有資産の時価変動による損益がMUAHの決算に反映される。
そしてMUAHはMUFGの連結対象(100%)であるためそのままMUFGの連結決算書に反映される。
MUB保有の有価証券、債券や貸出金等について時価評価する際、昨今の金利上昇もあり時価評価額が低くなる(評価損が多く発生)。
評価の詳細は確認できていませんが、特に債券や貸出金については
市場の金利情勢を加味した割引率を使用するものと想像しています。
(違ってたらすいません)
MUAHの2022年1~3月決算で反映された上記時価評価による評価損がMUFGの2023年3月期第1四半期に反映される(3か月のタイムラグあり)。またMUAHの2022年4~6月決算で反映される評価損益はMUFGの第2四半期に反映される。
今回MUFGの第1四半期(MUAHの1~3月分)の評価損▲2,544億円(ヘッジ適用前:▲2,712億円)。
次回MUFGの第2四半期(MUAHの4~6月分)の評価損約▲3,600億円の予定であり、ヘッジ適用前で4~9月の上半期累計:▲6,300億円の見込。
但し、MUB売却実行時にその大部分が特別利益に計上される見込(現在計上してる評価損の戻し、或はMUAHとMUBでの税効果計上額の差異による戻しらしい)。
結果、MUFGの2023年3月期への最終通年インパクトは、約▲2,000億円の見込。
で、この最終▲2,000億円は想定済で、
最終利益1兆円は現時点でそのままということね。
留意点。
会社の発表で特に留意しておく必要があるのは以下。
②特別利益の計上による損失低減は、あくまでMUB株式譲渡実行時。
MUFGは「MUFG Investers Day 2022」Q&Aにて、米国の金融当局に年内に承認される見込と回答しています。
ただ、仮に年内に譲渡されなければ第3四半期も
追加で評価損が計上されるかもしれないことと、
更に万が一2023年3月期中に実行されない場合は
特別利益の計上が今期中に為されず最終利益は大きく
減額修正となる可能性…。
その最中に金利上昇が続けば、評価損も増えるかも…。
その他諸々
個人的な見方。
個人的には今回のMUB株式売却に伴う評価損については決算書上経常利益に影響を及ぼしている事項ではあるものの、株式譲渡実行さえ終われば(現時点での見積)▲2,000億円の損失で終わる話(多額だけど会社の想定内)と考えています。
一過性か。
今回の決算でも業務純益は毀損していないので安心しています。
寧ろこの話を嫌気して株価が下がるなら…、
とも考えています。
重要な点あり。
但し、MUB株式譲渡実行のリリースは着目しておく必要がありそうです。
本当に年内に決着つけば◎、最低でも2023年3月期の決算書に
反映されるタイミングで株式譲渡実行されることを期待しています。
私自身は短期売買は行わないので気にしていませんが、このリリース(譲渡実行)のタイミングによっては株価が動くことも考えられますね。
基本MUFGへの評価は個人的には変わっていません。
ちなみに配当への影響。
MUFGは累進配当です。
2022年3月期配当は年間28円、2023年3月期は年間32円の予想。
通期業績予想と変わらない着地であれば問題なし。
万が一、2023年3月期の決算書に反映するタイミングまでにMUBの譲渡実行が為されない場合は28円までの減配はあり得るかもしれませんね。
いずれにしろ会社も予定している通り
年内の決着を期待します。
ちょっと個人的な総括。
・MUB株式売却実行がいつになるかで、どこまで悪影響引きずるかが決まる。
・業務純益などは毀損しておらず、個人的な評価は変わらないため株価が下がるなら拾いたい。
あくまで個人的な見方です。
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