最近の海運フィーバー?(笑)で、日本郵船と商船三井の決算等見て気づいたことがあります。
営業利益率低いなぁ、、、と思ったのですが、
ここ数年見るとちょっと不思議なことに、
となっていました。
日本郵船と商船三井は経常利益率の方が高いのだ。
営業利益率 < 経常利益率
こんな感じ。
勿論、営業外収益において為替差益や本業と関係ない賃貸収入や補助金等雑収入が生じることもあるし、余剰資金が多額にあり貸付や有価証券の保有が多ければ利息や配当収入が多額になることもあるので、
必ずしも ”営業利益率 < 経常利益率” が即不思議となるわけではないのですが、特に直近1、2年はぱっと見た感じ違和感がありました。
理由は持分法投資利益。
決算書の経常収益を確認すると、持分法投資利益が多額に計上されていました。
(出典:商船三井 2022年3月期第1四半期決算短信より)
しかも結構というか、かなり多額。
売上総利益より多額ですし、売上高の1/3程度もあります。
どこの投資会社でしたっけ?って感じやね。
オーシャン ネットワーク エクスプレス ホールディングス。
2021年3月期の有価証券報告書によれば商船三井の持分法対象会社110社、日本郵船同203社となっていますが、このうち上記の持分法投資利益の大部分を占めるのが、オーシャンネットワークエクスプレスホールディングスではないかと推察しています。
このオーシャンネットワークエクスプレスホールディングスは、日本の海運主要3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)が、グローバルな海運競争に対抗するために共同出資して設立した会社で、出資割合は以下の通り。
- 日本郵船:38%
- 商船三井:31%
- 川崎汽船:31%
そしてこのオーシャンネットワークエクスプレスホールディングスの
100%子会社としてシンガポール法人である
OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.が実際に事業
( 2019年3月期からコンテナ事業を開始)を行っています。
従って商船三井等3社は、オーシャンネットワークエクスプレスホールディングスの利益(その源泉は、OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.)を、出資比率に応じて持分法投資利益として営業外収益に取り込んでいると思います。
尚、損失を計上した場合は営業外費用に取り込まれます。
OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.
業績に多大な影響を与える重要な関係会社なので商船三井のHPにはOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.の業績資料も開示されています。
経常利益(率)を重視してもよいかも。
通常銀行業といった営業利益概念がない業態を除き私は各段階利益の中で営業利益を最重要視しています。
勿論EPSや最終利益自体が配当源泉であることから最終利益を最重要視する考え方も理解できますが、個人的には以下の理由から営業利益が最も好きです(笑)
最終利益を軽視しているわけではなく、
どちらをより重要視するかといった優先順位の話です。
- 営業利益がその事業自体の利益率を表し、事業の価値を図るには最も重要。
- 金融損益(利息や配当)や一過性の損益(特に保有有価証券の評価損や売却損益)或は繰延税金資産・負債の増減(損益計算書上は法人税等調整額として最終利益に影響)は、本業の業績とは必ずしもリンクしない。
基本的には以上のような考え方なので、持分法投資損益があろうがなかろうがあまり気にしていなかったのが正直なトコロ。
というかここまでインパクトのある
持分法投資損益も珍しい。。。
しかしながら、日本郵船や商船三井(川崎汽船の決算書は未確認なんでちょっとわかりませんが)については、オーシャンネットワークエクスプレスホールディングスの設立経緯、事業内容や影響の大きさ、言い換えると重要性の高さから鑑みて持分法投資損益も含めたところで他の銘柄の営業利益(率)との比較でも良いのかなと感じました。
まぁ面倒であれば、経常利益率をそのまま
使用しても良いかと思いました。
ただ留意点としては、毎期毎期オーシャンネットワークエクスプレスホールディングスの投資損益が大きな影響を与えているとは限らない可能性もあるので、上記のようなオーシャンネットワークエクスプレス自体の開示資料も確認しながらということにはなりますね。
そんな個人の雑感的な話でした。
それでは、よい1日を!
尚、当然ですが、これら銘柄への投資を推奨するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いします。また、記載内容や数値は記事投稿時点でのものです。
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