ゆうちょ銀行の2021年3月23日時点の株価は1,110円。
配当利回りは4.5%。
なかなかの高配当といえます。
2021年に入ってから、他の銀行株と同様株価は上昇しています。
一方で、配当利回りは結構高いものの、高配当株としての着目度は三井住友FG三菱UFJFGなどに比べるとちょっと低めな気がします。
その理由を少し考えてみました。
ゆうちょ銀行は高配当株なのにちょっと人気薄!?
日本郵政グループだから
身も蓋もない書き方ですが(笑)
ゆうちょ銀行の筆頭株主は日本郵政で約74%程度の株式を保有しているようです。
ゆうちょ銀行の株式については売却の上完全民営化する方向があることや、最近グループで不祥事続きなこともあり、ゆうちょ銀行はメガバンクと比べると少し人気薄という面は否めません。
ビジネスの特異性 銀行と見せかけて…
個人的にこの点(及びこの問題に起因するROEやROAの低さ)が最大の理由かと感じています。
次の数字を見て下さい。数字はいずれも2020年12月時点です。
比較したメガバンクは銀行業の他にもリース等の子会社も含まれた数値ですが、
今回の視点で大枠を見るには問題ないかと思います。
・ゆうちょ銀行 総資産:224.1兆円
貸出金:4.6兆円(総資産の2%)、有価証券:136.6兆円(総資産の61%)
・三井住友FG 総資産:233.0兆円
貸出金:83.9兆円(同36%)、有価証券:34.1兆円(同15%)
・三菱UFJFG 総資産:351.7兆円
貸出金:106.3兆円(同30%)、有価証券:75.9兆円(同22%)
・みずほFG 総資産:217.9兆円
貸出金:83.6兆円(同38%)、有価証券:42.3兆円(同19%)
見事に傾向が出ています。
ゆうちょ銀行は、法人向けの貸出や住宅ローンの貸出が認可されていないのでできません。しょうがないから(?)多額の資金を国債等で運用しているのが実態です。
もはや実態は運用会社だね。
次に以下の数字を見て下さい。2020年4月~12月の9か月の数字です。
・ゆうちょ銀行 経常収益:1.3兆円
貸出金利:76.3億円(経常収益の0.6%)、有価証券利息配当:8,525億円(経常収益の64.9%)
・三井住友FG 経常収益:2.8兆円
貸出金利:1.0兆円(同35.2%)、有価証券利息配当:34.1兆円(同6.8%)
・三菱UFJFG 経常収益:4.4兆円
貸出金利:1.3兆円(同30.4%)、有価証券利息配当:75.9兆円(同7.2%)
・みずほFG 経常収益:2.3兆円
貸出金利:0.7兆円(同30.6%)、有価証券利息配当:42.3兆円(同7.4%)
他のメガバンクの場合は、貸出金利収入が総収益に占める割合が3割~4割なのに対して、ゆうちょ銀行は1%もありませんし、一方で有価証券の利息・配当収入の占める割合が非常に高くなっています。
だって、貸出規制であまりできないし、運用するしか…。
下記は運用の内容を開示しているものです(資料は単体のものですが、有価証券部分の数値は連結とほぼ同じです)。
(出典:2021年3月期第3四半期決算説明資料 より)
有価証券の内訳を見てもその多くが国債等の債券なので、どうしても法人向貸出を行っている他の銀行と比べると収益力が低いです。
ちなみに、予想ROEは以下の通りで、ちょっと見劣りしますね。
- ゆうちょ銀行:2.3%
- 三井住友FG:3.5%
- 三菱UFJFG:3.6%
- みずほ銀行:3.9%
この辺りが、メガバンクに比べると高配当株の中でも少し注目度が低い理由なのではないでしょうか。
逆に言うと、ポテンシャルとも言える、、、かも。
今後ゆうちょ銀行が完全民営化し法人への融資等の規制も撤廃された場合には、業務内容が大きく変わっていく可能性があります。
当然、貸出(融資)は増えるでしょうし、リースや消費者金融等へも進出、M&Aによる事業拡大も考えられると思います。
この辺りを、ポテンシャルと考えれば、魅力的な投資先になるかもしれません。
一方で、ヌクヌクと働いてきた(かもしれない)既存の従業員のパフォーマンスや、規制の撤廃や新規事業を行うにしても能力ある人員を獲得・成長させることができるのか、といった点から不安を感じる面もあるでしょう。
いずれにしろ今のところは、ゆうちょ銀行への投資は、ゆうちょ銀行を通じた疑似的或は間接的な国債や外債への投資となるイメージでしょうか。
アサヒホールディングスを通じた金や銀への疑似投資、
商社を通じたコモディティへの疑似投資(商社によりますが)
のような感じね。
それでは、おやすみなさい!
尚、当然ですが、これら銘柄への投資を推奨するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いします。また、記載内容や数値は記事投稿時点でのものです。
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